都内屈指の絶景スポットで知られる六本木ヒルズ展望台。その「東京シティビュー」一角に、デザイナーの佐藤オオキ率いるネンド(NENDO)がプロデュースした日本初のコンセプトカフェ「ガチャガチャコーヒー(GACHA GACHA COFFEE)」が10月4日オープンした。その名の通り、ワンコイン(500円)でガチャガチャから出てきたコーヒー豆をグラインドからドリップまでセルフで楽しめるという、遊び心満載のコーヒーショップを実際に体験、レポートする。
大手コーヒーチェーン店の仕事を請け負うことも多いという佐藤氏は、コーヒー店全体が抱える人手不足問題をデザインで課題解決できないか考えていたという。「コーヒーショップのスタッフは日々の業務に加え、覚えるべきことが山積み。美味しいコーヒーを提供するにはどうしても時間も要してしまうので、それがストレスに感じられるお客さまがいることも事実。お客さまにもスタッフにも心地よい時間を過ごしてもらうにはどうしたらいいか考えた結果、思いついたのがガチャガチャ。子どものころに感じたワクワク感を大人のカフェに生かせるのではないかと思った」と佐藤氏。懇意にしていた丸山珈琲に提案してみたところ、そのユニークなアイデアに賛同を得て監修が決まり、プロジェクトが動き出した。
「ガチャガチャコーヒー」のステップは下記の通りだ。
コーヒー豆をワンコイン購入気分で選べる5種+希少豆!
コーヒー豆は全6種類。マットブラックとコッパーカラーの組み合わせが目を惹く。ガチャガチャには01~05の数字がナンバリングされ、気分や好みに応じてコーヒー豆を選べる。「?」のマークの入ったマシンには希少性の高いシークレットの豆が入る。豆の特徴は、苦味・酸味・香り・ボディの各項目を5段階評価で表示。コーヒー初心者であっても、自分好みのローストを選べるよう、スムーズに誘導してもらえるのが嬉しい。
ピーチ、オレンジ、グレープの風味、華やかでジューシーな味わい。
アップル、ブラウンシュガー、アーモンドの風味。バランスの良い味わい。
ダークチョコレート、ダークチェリーの風味。きめ細やかな質感。
ダークチョコレート、ブラックベリーの風味。重厚感のある味わいと長い余韻。
ダークチョコレート、アーモンドの風味。バランスの良い味わい。
好みの豆が入ったカプセルを手に入れたら、次はコーヒーを挽く作業に。挽いた豆はグラインドカウンターの下にセットされたドリッパーに直接落ちていくのでとてもスムーズ。挽き終わりは取り出し口のライトがサインとなり知らせてくれる。
すっきり派?深煎り派?抽出方法も選べる
抽出方法は2種類から選べ、本格的な味わいを楽しめる
ドリッパーごと取り出したら、グラインドカウンターの後ろに配置されたドリップカウンターへ。豆が入っているドリッパーを定位置にセットし、カップをフィルターの下に置けば準備完了。手元にあるタッチパネルで、軽くすっきりとした味わいに仕上がる「エクスプレス」と、甘みとコクの奥深い味わいが楽しめる「リッチ」の2種類から抽出方法が選べる。抽出時間は「エクスプレス」なら1分30秒、「リッチ」でも3分。コーヒーの香りに包まれ、待つ時間も楽しい。そして完成したコーヒーはもちろん挽き立て、淹れたてで、思わず「美味しい」と声が漏れるほどの、本格的な味わいだ。
アナログ感と分かりやすさを両立する店舗デザイン
デザインコンセプトとして、「アナログ感を大事にしつつも、間違えてしまうことがないよう、誰にも伝わりやすい表現を心がけた」という佐藤氏。その言葉通り、初めてでも全ての過程はスムーズに進み、おいしいコーヒーと共に心地よい高揚感も味わうことができた。「今日体験した方から、『自分でコーヒーを淹れる過程で、気持ちが整っていく感じがした』と早速嬉しい感想をいただいた。新たなコーヒー体験を提供できたら」と語った。
アナログ感を大事にしつつも、間違えてしまうことがないよう、誰にも伝わりやすい表現を心がけたという佐藤オオキ氏
最高のクオリティーのコーヒーを、セルフのイメージを覆すユニークなアプローチで提供するコンセプトショップ「ガチャガチャコーヒー」。コーヒー豆から入れる楽しさと、本格派の味わいの両方を手軽に味わえて、ビギナーからコーヒー通まで楽しめる新しいシステムだと感じた。「東京シティビュー」で11月中旬まで開催した後、どう展開するかは未定だというが、引く手あまたになりそうな予感だ。